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【筒井康隆】8つの家族と超能力少女の物語『家族八景』の感想!【小説】

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なゆきでございまーす! こちらは筒井康隆さんのSF小説『家族八景』の感想記事です!
 
 

1.テレパシー能力者・七瀬シリーズの第1弾!

本作を知ったきっかけはドラマ版でした。木南晴夏(きなみはるか)さんが七瀬を演じているのですが、めちゃくちゃ可愛かったのを覚えています。独特な世界観に興味を持ち、原作にも手を出してみたのでした。
 
こちらの作品、3部作となっております。1作目『家族八景』、2作目『七瀬ふたたび』、3作目『エディプスの恋人』。テレパシー能力を持った女性・七瀬を主人公にしたシリーズです。これを『七瀬シリーズ』や『七瀬3部作』と呼んでいるみたいですね。
 
『家族八景』では、七瀬がお手伝いさんとして色んな家庭の事情を見ていきます。七瀬が特殊能力者という設定なため、登場人物の心情がそのまま文章になってるのが面白いです。登場人物の本音が語られているので、明るい内容ではありません。でも癖になる面白さがあるんですよね~!
 
『1話完結もの』の短編集なので、とても読みやすい作品ですよ。 
 

1.主人公七瀬がさまざまな家庭を渡り歩く

8カ所の家庭に行くことになる七瀬。七瀬が人の心を読めるという設定が面白く、それぞれの登場人物の本音が丸分かりなんです。しかも「こんな家庭ばっかりなの?」と思うほど、不仲な家族が多い(笑)
 
怖いものから後味の悪いものまで、どの話も興味深く読ませていただきました。「ハッピー?」的な内容は一つだけありましたが、だいたいは状況が悪いまま立ち去るパターンが多かったです。むしろ七瀬が悪化させてます(笑)
 
七瀬は傍観者の立ち位置にいるようで、割と家族に多大な影響を与えてるんですよ。
 
個人的に強烈に印象に残ってるのは『亡母渇仰(ぼうぼかつごう)』 。七瀬にテレパシー能力があるからこそ、生まれる恐怖。同じ状況ならどうしたものかと絶対考えます。葬式での出来事です。恒子さんが色んな意味で恐ろしかった。お互いに自立できていない親子のエピソード。
 
一番好きなのは『芝生は緑』です。読んだ後にタイトルをみて「なるほど」と思いました。一番、明るい終わり方ですし。
 
二組の夫婦がメインです。お互いに不満を持った夫婦が、別の相手に惹かれて行く話。自分が持ってないものに憧れる気持ちってすごい分かる! 都合良く相手を見てしまうけど、自分に合うとは限らないんですよね。そこらへんが描かれていて、大変面白かったです。
 
そして『紅蓮菩薩(ぐれんぼさつ)』の根岸菊子や『青春讃歌(せいしゅんさんか)』の河原陽子など、本作は印象的な女性が多い。男性はですね、性格はみんな違いますが、ある共通点がありました。『水蜜桃(すいみつとう)』の桐生勝美や『日曜画家』の竹村天州など濃い人物もいます。
 
家庭で本当にありそうだなと思えるものばかりでした。現実的で重く、直視したくない内容です。
 
家庭が抱える問題、人物の内面の醜さや愚かさ、無関心など、人間の暗部をこれでもかと描いていました。家族に対して温かなイメージがあるだけに、それとは真逆を行く描写はけっこうきつかったですね。でも読んだ後にズーンと落ち込むことはありませんでした。 たぶん、七瀬が割と淡々とした人物で、彼女を通して描かれているからだと思います。 

2.七瀬とテレパシー能力

本作の肝である七瀬の超能力。七瀬自身、能力についてかなり調べたらしい描写があります。しかし、『何故能力に目覚めたか?』『能力者は七瀬だけなのか?』などの疑問点は解消されません。
 
本作のメインは七瀬であり、それぞれの『家族』なんだろうな。なので、能力について多少は話題になりますが、そこまでメインではないんだなと思いました。
 
家を渡り歩く過程で、七瀬の能力もパワーアップしていきます。他のテレパシー能力者の作品も読んだことありますが、七瀬は若くして能力をコントロール出来てるのが凄い部分なんです。だから七瀬が制御出来ない心の声は、それだけ強いんだろうなとイメージできるのが良い!
 

3.火田 七瀬(ひた ななせ)という人物

そして本作の主人公・七瀬について。物語が始まった時点では18歳です。テレパシー能力者で、人の心を読めるためか他者とは距離をおいています。能力を知られることに関しては危機感を持ってるが、能力自体は受け入れて積極的に使っている印象です。
 
お父さんの名前は出ましたが、過去はまだほんのりしか明かされていないはずなんですよね。 七瀬が今の生活を送らざるを得なかった理由もあるはずなので気になる所ではあります。
 
性格的には、苦労しているからか割と冷めている印象でした。そりゃそうだ。誰とも深く関わらず、七瀬を理解出来る人物は本作にはいませんでした。人の心が分かりすぎるって辛い。特殊能力は憧れるけど、テレパス能力は辛いことのほうが多そう。
 
最終話でお手伝いさんの仕事を辞める決意をした七瀬。これから七瀬はどのような運命を辿るのか。次作はまた、お話のタイプが違うようです! 

2.『家族八景』の配信情報

【発行日】1972年(単行本)
【ページ数】231(文庫)
 
配信されている電子書籍サイト:Kindle、ブックウォーカー、BookLive!など