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アニメ『LOST SONG』の感想。ふたりの少女が出会ったとき、世界に希望の歌が響き渡る

 
皆さん、こんばんは! なゆきです。アニメ『LOST SONG』の感想をメインにしつつ、個人的な考察や解釈についても書いてみました! ネタバレ多めになっています。 
 
簡単に説明すると『国々の戦いに巻き込まれた歌姫二人が、なんやかんやで世界を救おうとするお話』です。
 
基本的には王道ファンタジーなのですが、そこにSF要素をプラスした一味違う内容になっております。
 
<こんな作品>
  • 地球ではない架空の星を舞台にしたファンタジー(全12話)
  • 主人公は二人。リン(声:鈴木このみ)とフィーニス(声:田村ゆかり)
  • 物語中に主人公二人による歌唱シーンあり
  • 主人公二人は歌うことで魔法が使える
  • 歌の力に目を付けられて、ひとりは追われ、ひとりは利用される
  • 二人の主人公は立場・性格・環境・役割が正反対に描かれている
 

 

 

【公式サイト】LOST SONG

 

『LOST SONG』の見どころ

 
個人的に、本作の魅力は主人公二人にあると思います!
 
なので、この物語の主人公であるリンとフィーニスについて。そして二人の関係性について掘り下げて感想を書きました。
 

夢を追い続けるリン

 
<リンの特徴>
  • 田舎育ち。物語のスタート地点は牧歌的な村
  • 性格は明るく自然体。物怖じせず、考えるより先に行動するタイプ
  • 質素だけど、温かい家庭環境で育つ
  • 仲間との冒険がメイン
 
何らかの理由で故郷を失い、旅に出る主人公です。ゲームによく居そうなタイプですよね。
 
リンの物語は、温かく前向きなエピソードが多く、見ているこちらをポジティブな気分にさせてくれます。
 
・リン最大の魅力は『夢に対してブレないところ』
 
リンは自分の『好き』と『夢』を最後まで貫いた人物なんです!
 
歌うことが大好きな子で、『王都へ行って歌うこと』を目標に行動し、見事に達成します。
 
何故魅力に感じたかというと、好きなことを貫くのって意外と難しいと思うのですよ。『好きだからこそ追求できる』とも思っているのですが、決して楽な道ではないですよね。
 
メンタルの調子も影響するし、環境によって出来なくなることもある。もしかしたら好きって気持ちが弱まったり、周囲に否定されたり、挫折もするかもしれない。
 
実際に作中で夢に対して背を向けてしまった者も描かれていました。
 
人生の中で『本当に好きなのか?』と試される瞬間がけっこうある気がするんです。
 
だから迷うことがあっても、歌い続ける道を選んだリンはスゴイ!! リンの生き方にはとっても励まされました。
 
登場人物たちもリンとの出会いで、『やりたいこと』『好きなこと』『目指したいこと』を再度考えてみるきっかけになってるのではないでしょうか。
 
・家族の支え
 
リンが最後まで頑張れたのは本人の精神力もあるけど、家族の支えもかなり大きいです。
 
リンを拾い大事に育ててくれた祖父タルジア。リンの夢を応援する姉メル。そしてリンを傍で見守り続けたアル。
 
特に姉であるメルの言葉は、歌うことに迷った時に力となってくれていました。
 
メル「リン これからも歌い続けて 夢をかなえて」
  「私みたいにリンの歌で元気になる人 絶対いるよ」
  「私…リンの歌が…大好き」(第1話『癒やしの歌』より引用)
  
・リンという存在
 
リンのネタバレなのですが、彼女は『フィーニスが捨てた癒しの歌』という設定です。
 
『夢を叶える(星歌祭で歌う)=自分の存在が消滅する』という事実は衝撃的でした。
 
究極ですよね。自分が夢を目指した結果、自分が消えてしまう。もしそんな状況になってしまったら、皆さんならどんな選択をしますか?
 
『リンが歌う=世界救済』にもなるので、ちょっと話のスケールが大きく複雑ですけどね。
 
私はリンのように笑顔で(泣きながら)平気なんて言えないです。すみっこで震えてます。
 
リンの物語は『自己犠牲の物語』なのか。それとも『自己実現の物語』なのか。見方によって変わってきます。個人的にはどちらも併せ持った素敵な物語だと思いました。
 
存在自体が『歌』であり、『残された希望』であるリンの在り方は、夢に対する価値観に深みを与えてくれます。
 
・リンの歌
 
オープニング『歌えばそこに君がいるから』は、まさにリンを表した曲です。
 
元気で夢や希望に溢れている。聴いてるだけで、ワクワクするような気持ちが沸いてきます。
 

 

険しき道を歩むフィーニス

 

<フィーニスの特徴>

  • 都育ち。物語のスタート地点は繁栄した王都
  • 性格はおしとやかで控えめ。穏やかで平和を重んじる
  • 裕福だけど、不自由。味方は侍女のみ
  • 騎士との恋がメイン(お姫さまと騎士の恋愛)
 
フィーニスの物語は本当に辛い! 容赦なさすぎです。道具扱いされる上に、進めば進むほど孤立していく。
 
過酷な設定の持ち主なので、苦しいエピソードが多めです。そのためかヘンリー(騎士)との話は、甘さと苦さが混じった気持ちになります。
 
 
・フィーニスはまさに『囚われのお姫さま』
 
塔の中で自由のない生活を強いられ、自分の人生を他人に支配されている。身動きが色んな意味でとれない、そんな状況下にいる主人公です。
 
フィーニスは基本的には受け身なんですよね。リンは確固としたやりたいことがあり、それに向かって進んでいきます。フィーニスの場合は、自分の人生の手綱を握れていない。他人に奪われてしまっている。
 
自分の人生を謳歌したいのに、それを阻むものがある。環境だったり、他者であったり、自分の心そのものかもしれない。
 
それって現実でもありますよね? フィーニスの生き方もまた考えさせられるものがあるのです。
 
フィーニスの場合はルードという人物でした。利己的で、自分の満たされない心を他者を貶めることで満たそうとする。小物な悪役ですが、世界規模で悪い方向に影響を与えます。
 
フィーニスが最初に嫌なことは嫌とはっきり言えたなら、もう少し違う運命になっていたかもしれませんね。
 
・フィーニスの恋
 
恋愛を大きく扱っていながら、悲恋で終わるあたりがシビアですね。個人的な願望ですが、ヘンリー(騎士)とは結ばれて欲しかったな~。
 
フィーニスの行動する動機は、いつだってヘンリー(恋する相手)なんです。
 
あんなにも描かれていたフィーニスとヘンリーの関係が、後半ではほぼないのが切なすぎる。
 
様々な時代を生きたフィーニスですが、それぞれの時代でヘンリーらしき人を見つけます。でも、フィーニスと心を通わせたヘンリーはたった一人。(詳しい設定は下記の『フィーニスの設定について考察してみた』にて)
 
うーん。厳しい現実だけど、割と好きな設定で悔しい!
 
ただ、あの『炎の鼓動(火の歌)』の使い方は、厳しいどころじゃないです(笑)
 
・時代が変わっても味方でいてくれた存在『コルテ』
 
フィーニスサイドで忘れてはいけない侍女コルテには救いを感じましたね。最後に希望を感じさせてくれる存在でもあります。
 
コルテ、フィーニスのそばにいてくれて ありがとう!
 
・フィーニスの歌
 
エンディング『TEARS ECHO』は、愛する人を求めてさまようフィーニスの心情が歌われています。
 
自分だったらと思うと胸が痛い。フィーニスの恋する気持ちや運命に翻弄される切なさが込められてると感じました。
 

 
 

救おうとする者と救いを求める者


二人の主人公は一緒にいるわけではなく、スタート地点が別々の場所です。二人の主人公は分かりやすいぐらいに対照的に描かれています。
 
主人公二人が出会うのはずっと後なのですが、互いの存在がなくてはならない かけがえのない関係なんですよね。
 
二人が一緒に過ごす場面なんてほとんどないのに、繋がりを強く感じさせる作り方には本当に感心しました。感動することが多かったのは、この二人のシーンなんですよね。
 
家族との約束を果たすため、自分の夢を追い続けるリン。
 
歌が大好きなのに、悪用され悲しき道を歩むフィーニス。
 
リンは希望を持ち続け、フィーニスは絶望に染まっていく。光と影のように対照的に描かれている二人です。
 
世界救済のお話でもあるけど、これは『リンがフィーニスを救いに行く物語』なんですよね。
 
フィーニスの「助けて」というシーンには泣きました。フィーニスの本音が聴けて、それがリンに届いたのがもう感極まってしまって(笑)
 
絶えず心の中で助けを求めていて、その声が誰かに届いたなら。その思いに応えて、助けに来てくれたなら。それだけで救われるものがあります。
 
ある意味フィーニスってボス的存在だと思うのですが、『ボスを倒しに行くお話』ではなくて『ボスを救いに行くお話』って考えると面白いです。
 
もう一つの解釈が、フィーニスが捨てた癒しの歌がリンならば、リンはフィーニスの一部でもあるのではないかということです。
 
リンはフィーニスであり、フィーニスはリンでもある。つまりひとりの人間の光と闇を表現している。『自分自身を救うお話』でもあると考えました。
 
絶望した自分に切り離されてしまったけど、そんな半身に手を差し伸べるためリンは動いている。なので最後のリンは、消えたのではなくフィーニスの元に帰っただけ。
 
ここらへんは色んな解釈が出来るので、すっごい面白いですよ。
 
例えば(まだあるのか)。フィーニスが女神だと讃えられるシーンがあるのですが、実は本当に神様に近い存在かもと思ってみたり。
 
神話でも神様の一部から新たな何かが生まれるエピソードってけっこう多いんですよね。
 
本作はリンが、フィーニスの歌により生まれてきました。だから、なんとなく連想しただけなのですが(笑)
 
リンとフィーニスが手を取り合って最後に歌うシーンは、待ち望んでいただけにとても感動しましたよ!
 
 

フィーニスの設定について考察してみた

 
フィーニスって、八尾比丘尼(やおびくに)に似てるんですよね。禁忌である人魚の肉を食べて不老不死になった女性の伝承です。『終滅の歌』は命を失う代わりに世界を滅ぼす歌らしいのですが、フィーニスは死んでおらず逆に死ねない身体になっています。
 
禁忌とされる『終滅の歌』を歌ったことで罰を受け、『生まれて死ぬ』という人の理から外されてしまった
 
フィーニスがいた時代から始まり、最後のリンが生まれた時代へと繋がっていく。
 
同時に衛星(?)が少しずつ接近してくる現象も起きていて、その衛星がもっとも近づくのが6万年後らしいです。
 
そしてリンがいる時代が一番衛星が大きいので、フィーニスは6万年近くは生きているということなんですかね。考えれば考えるほど難しい!
 
ただ、そうだとするとフィーニスは6万年を孤独に生きてきたことになります。
 
その間、愛するヘンリーに似た人物を発見しては希望を持ち、別人である事実に再び絶望していたのかと思うと、心が痛い。
 
ループ系の要素も入っている作品ですが、私がよく知っているループとはちょっと違う気がしました。
 
通常のループものは、ある地点に到達したら特定の時間まで巻き戻されて、それを永遠に繰り返すというイメージです。一定の期間を切り取って、それを何回も繰り返していくような? ちょっと図にしてみました。
 
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フィーニスから『円環』『何らかの理由で世界がリセットされる』という話が出てたので、LOST SONGでは、もっと規模が大きいのかもしれません。円をぐるぐる回っているイメージです。
 
「なんでリセットされてんの?」って話ですが、私は「そういう世界なんだなぁ」で納得しました(笑) 主人公二人や、演出、物語、台詞から『始まり』と『終わり』をかなり意識して作ってる気がします。 
 

『LOST SONG』の気になったところ

 
・描きたいことに対して話数が足りてない
主人公が二人以上いる作品だと、どこかのタイミングで出会うんだろうなと想像してしまいます。なので、リンとフィーニスの出会いは一番期待していたものだったんです。
 
でも出会うのは最終話の終盤。エピローグ手前ぐらいです。だから、もうちょっと二人のやりとりが見たかったなと。
 
・説明が足りてない
話数が足りてないと関連してくるのですが、全体的に説明不足だと思います。
 
『アルやメルの両親はどこ?』
『リン以外は血縁上の家族なの?』
『ヘンリーの剣は歴史が変わっても、同じ場所にずっと突き刺さってたの?』
『フィーニスの出自は?』
 
と色々疑問に思うことが多いんですよね。他にも細かく上げればきりがないぐらいあります(笑) そもそも大事な歌の伝承についても説明が最小限な気がしました。
 
星全体に関わる大きな問題を巡ったお話なので、リンやフィーニスという個人から離れて色々と描くには12話では厳しいです。
 
・7話以降の展開
話の途中で違うジャンルの要素が出てくる作品は、割と賛否が分かれると思います。
 
最初の路線が好きだった人にとっては、急なジャンルの登場に戸惑ってしまうんじゃないかと。もちろん大歓迎な層もいると思います。
 
私はびっくりはしたけど、すんなり受け入れられました。 
 

『LOST SONG』のまとめ

 
現在はNETFLIXでのみ配信されてます!
 
素朴な雰囲気の絵とは逆に、世界観のベースは重く、想像以上に主人公たちが辿る道は厳しかったと思います。 
 
ただシリアス一辺倒かというとそうでもなくて、コメディ要素や心温まる場面も描いてくれていたのは好感が持てました。リン楽団の和気あいあいとした所とか最高です。
 
説明不足に感じる部分もあるし、粗もある作品なのですが、良い部分もたくさんあって自分は大好きな作品になりました!
 
結論:見てよかった!!
 
<こんな方におすすめ>
  • 歌をテーマにした作品が好き
  • 考察するのが好き
  • ゲームっぽい作風に興味がある