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【カオチャ感想】拓留と世莉架が大好きだー!!

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※記事の画像はPS4のシェア機能を使用しております。

 

どうも、なゆきです! こちらの記事では『カオスチャイルド』の宮代拓留と尾上世莉架のエピソードに限定して、自分なりに考えをまとめてみました。主人公とメインヒロインだけに、関連性も非常に高い二人です。※ネタバレ全開。

 

 

1.初期の二人の関係性

初期の頃の二人は、ありがちな『幼なじみ』という関係です。幼なじみと聞いて思いつくのは『主人公に好意を持つ』『世話を焼きたがる』などのイメージではないでしょうか。この二人の場合、世莉架のおっとりした性格や拓留に対する従順な態度から、拓留が世莉架の面倒をみている印象の方が初期は強いと思います。

 

実は、前半の世莉架は『おバカな幼なじみ』という側面しか描かれていないんですよね。他のキャラがクローズアップされている中、メインヒロインの割に表面的な部分しか見えていないんです。ここらへんで「世莉架には秘密がある!」と疑っていました。

 

お気に入りのヒロインだったので、願わくば普通の女の子であって欲しかった。

 

一つ拓留で気になったのは、世莉架の呼び方です。実際に呼ぶ時は『尾上』と言うのですが、心の中では『世莉架』と言っています。一度下の名前で呼んでましたが、妄想シーンなんですよね。世莉架に対して距離を保っているつもりでも、実際は依存している心の表れなのか。それとも照れくさくて呼べないだけなのか(笑)妄想がたぎりますね。

 

2.判明する尾上世莉架の正体 

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こんなに心を揺さぶるヒロインはなかなかいないです! 設定や作中での活躍が特殊すぎて、賛否が分かれそうなキャラクターでもあります。

 

幼馴染だと思われていた世莉架は、拓留のイマジナリーフレンド。拓留の願望により、空想上の友達が実体化した姿なんです。そして連続殺人事件の犯人の一人でもあります。

 

幼い頃にネグレクト(育児放棄)を受けていた拓留は、自分よりも可哀想な幼なじみ『尾上世莉架』を作り出すことで、己の心を守っていました。拓留はこの事実に目を向けず、ずっと世莉架を幼なじみだと思い込んでいたのです。

 

渋谷地震の時、多くの人間が能力に目覚める中、拓留は世莉架を実体化させました。能力はその人の願望により左右されるものです。拓留が望んだのは、世莉架に助けてもらうことでした。

 

拓留「僕に、やりたいことを与えてよ。それを、叶えさせてよ―」(ゲームより引用)

 

この台詞から拓留が何故世莉架を望んだのか。世莉架に何を求めたのか。最初はちょっとピンと来なかったのです。他のキャラは分かりやすかったのに、拓留はなんか皆とズレている気がする。この解釈に関しては後述します。

 

世莉架は、ある意味では純粋な存在です。でも過激な人物でもあります。拓留の願いを叶えるためなら、喜んで人も殺すからです。世莉架にとっては拓留が全て。彼女の生まれた所以(ゆえん)でもあるし、存在意義でもありますからね。

 

拓留の願いを叶えるために、どんどんエスカレートしていく世莉架。何故ここまで過激なのか考えてみました。

 

・ネグレクトを受けていた拓留の願い自体が歪んでいる。だから拓留の精神の影響を受けて誕生した世莉架も歪んでいる。

 

・世莉架は生まれたばかりの子供のようなもので、善悪の基準が育っていない。もしくは善悪の概念そのものが存在していない。

 

・世莉架の行動原理は、拓留が喜ぶかどうか。優先すべきは拓留。

 

この3つかなーと思いました。世莉架は生まれてすぐに、拓留の願いにより彼の両親を殺害しています。その時に世莉架は「拓留のためになれた」と喜んでいるのですが、もうこの時点で間違ってしまってるのが悲しい。

 

『思考誘導』という、皆を苦しめていた能力が登場していました。簡単に言えば、相手を意のままに操る力です。その能力はある意味、人に役割を強制させる力に見えたのですが、まさに世莉架が強制されているキャラクターに思えました。


世莉架は本望だろうけど、自分の幸せを拓留から切れ離せない。せっかく生まれてきたけど、拓留ありきの人生なんですよね。

 

真実を知った拓留は、自分の持っている力全てを使って世莉架の在り方を変えてしまいます。世莉架自身の人生を生きるためには、彼女の存在理由を根こそぎ変えるしかなかったのですよね。

 

さまざまな面を見せてくれましたが、どの面も世莉架の一部分なんだろうな。個人的な考え方なのですが、人には複数の面がありますよね。どれかに本当の自分がいるのではなく、『どれも本当の自分』なんだと思うんです。だから幼なじみの世莉架も、手を汚し続ける世莉架も、どちらも彼女の真実なんだと思いました。

 

世莉架が一番好きな方は、本当複雑な心境なんじゃないでしょうか。私は全てを知った上でも、世莉架が嫌いになれなかったですね。彼女の行いは認められるものではないのですが、それでも好きだ!!

 

3.拓留の執着

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元々強い好奇心の持ち主ですが、拓留の事件への執着は異常です。学校休んで現場を張り込んだり、事件が起きてる場所に侵入するなど、ちょっとやりすぎですよね。高校生がいくら事件に興味があっても、躊躇するだろって思います。残酷な事件が好きな伊藤(親友)でさえ、ためらってました。 

 

とにかく拓留は事件をニュースで知るような部外者ではなく、事件を自ら体験した当事者になりたいのです。当事者になることで何が拓留を満足させてくれるのか。

 

それは「自分が特別だ」という思いです。

 

ヒーロー願望というものもありますし、単純に考えると「連続殺人事件を解決して英雄視されたかった」といったところですよね。ただ拓留の場合はもうちょっと複雑な気がします。

 

この事件への執着心が、世莉架を実体化させた願望の話にも繋がってきます。拓留の過去を振り返ってみると分かりやすいです。

 

幼い頃の拓留には味方がひとりもいません。本来は子供にとって一番の味方であるはずの両親も関心を持ってくれず、回想を見る限り拓留は学校でも上手くいってなかったようです。


何の苦労も知らずに馬鹿にしてくるクラスメイトに対して、拓留は「こいつらと自分は違う」「見下してくる相手を見返してやりたい」と思う描写があります。自分は特別だと思いたい気持ちで溢れています。


この『自分を特別』だと思う気持ちって、割と誰でもあることですよね。拓留の場合は、『誰よりも正確な情報を持っていること』がアイデンティティーだったのだと思います。

 

そして渋谷地震の時に『自分よりも下の人間だと思いたかったクラスメイトが、懸命に救助をしている姿』を発見して言い知れない敗北感を持ってしまった。


自分は何でもない人間だと認めてしまえば、見下したかった人間と自分は何も変わらないことも認めてしまう。自分は価値がない人間に思えて、それがどうしても出来なかったのかなと思います。

 

大体の子たちが親の愛を受けて生きてる中、親に愛されずに育ってきた拓留にとっては物凄い劣等感だったのかもしれません。「どうして自分だけが?」と思ってしまいますよね。


苦しい環境で生きる自分は特別な人間だからで、そんな自分は価値があるんだって思いたかったのかなー。そう考えると一身に愛情を捧げる世莉架は、拓留にとって親の代わりに愛情を注いでくれる存在でもあったのだと思います。

 

他人を見下そうとする姿勢は、現在まで続いてる拓留。子供の頃に比べれば、環境はめちゃ良いです。血の繋がりはなくても家族はいるし、親友はいるし、幼なじみもいます。クラスメイトも話せば仲良くなれそうな雰囲気も感じました。拓留を蔑ろにする人物はいないと思うんですよね。

 

それでも事件に執着してしまい、悲劇へと繋がっていきます。

 

拓留で思い出すのが、色んな意味でピンチになると心の中で世莉架に頼ってるんですよ。「尾上助けて」って。世莉架に寄りかかって生きてきたのが分かります。

 

実際に助けられていたのは、拓留の方だったのです。


拓留が満たされるように、世莉架は何も知らない振りをしていました。知識を披露する拓留に、世莉架が「よく知ってるね」と感心するシーンはまさにこれ。


世莉架を解放して全ての罪を引き受けた拓留は、今まで助けてくれていた世莉架を守ることができました。そして解放するということは、世莉架からの自立でもあると思うんです。もう特別扱いして優越感を満たしてくれる存在はいません。

 

この話は渋谷を巻き込んだ拓留の成長物語でもあります。


世莉架を改変した拓留。彼のどこか歪んだ願望により生まれ、自分のために汚れてきた彼女へ、幸せになって欲しいと願いを込めたんだろうなー。世莉架の行いは彼の中では自分がやったも同然で、彼がこれから普通を取り戻そうとするには人が死に過ぎました。


自分ではもう得ることが出来ない『普通であることの幸せ』を彼女に託したんだと思います。拓留にとって、世莉架は自分の一部みたいなもので、そんな彼女が自分を喜ばせるために、人を殺して来てしまった。自分のせいで、世莉架に過ちを犯させてしまったと感じたんじゃないでしょうか。


そして今まで自分のために生きてきた彼女を自分から解放したかった。拓留は力を手放してるけど、なんとかすれば取り戻せそうな感じなんですよね。でも、取り戻せば世莉架にも影響出そうだから、このまま力がない方が良いよなー。

 

4.トゥルールートから見えてくるもの

トゥルールートは世莉架の視点で描かれていました。1周目のメインルート後の話だと思っていたのですが、登場人物の生死が変わっていたのでちょっと違うのかな。

 

メインルートで拓留により世莉架は『普通の女の子』に改変されています。なので出自やこれまでの行いを全く覚えてないのです。徹底的に部外者として扱われています。登場人物が何を思っているのかは分からないようになっていましたね。

 

拓留にも再会しますが、過去について話すことは一切なく、距離が縮まることもありません。完全に他人同士です。

 

世間では拓留が連続殺人犯となっているので、世莉架も拓留を責めるのですよね。あの場面はどんな気持ちで見ていたら良いのか分からなくなりました(笑)世莉架好きにも、拓留好きにも辛すぎるわ。

 

劇場で涙を流す世莉架からのスタッフロールの流れは、屈指のシーンだと思います。エンディング曲の『silent wind bell』は名曲です。すぐダウンロードしたもん(笑)

 

歌詞がもろにネタバレになってます。「作中より拓留の心情語ってね?」と思えるぐらい、歌詞が拓留目線です。


世莉架への気持ちが込められていると思います。作品抜きにしても、良い曲なので是非聴いていただきたい。聴いているだけで心が洗われるような感じ。

 

最後の場面は、胸が締め付けられました。二人の道は決して交わることはないけれど、お互いを思って別々の道を歩んでいく。

 

世莉架が拓留のことを思い出しているかどうか。人により解釈は違うと思いますが、私は『思い出してる』に一票です。世莉架が拓留のことを大好きだから。拓留が世莉架のためにしたことだから。覚えていて欲しいという希望的な理由です。

 

友人に聞かれた時、世莉架が涙しながら「知らない人」と言ったのは、拓留の「幸せに生きて欲しい」という思いを受けて決別する道を選んだからだと思います!!

 

最後の最後。拓留の台詞が二人は離れても心は共にあるんだと思わせてくれました。

 

「―—僕たちはこうして、一緒に生きていくんだ」(ゲームより引用)

 

エンディングまで迎えた思いとしては、苦しい。空虚感でいっぱいです。青空映されても、私の心は晴れはしないよ。でも、苦しくも美しいエンディングでした。

5.拓留と世莉架の物語

カオスチャイルドって、拓留と世莉架の物語なんだなーと改めて感じました。この二人はよく似ています。


拓留が世莉架を改変しようとした時、普通にはなりたくないと世莉架は怯えていました。それが自分を特別なんだと思っていた拓留と被って見えたんですよ。拓留が生み出した他者だけど、やっぱりベースは拓留なんだと思いました。


拓留は世莉架で、世莉架は拓留。


トゥルールートで拓留が世莉架を突き放すのは、愛ゆえです! 拓留が世莉架を好きだと発言した時は「そんな描写あったっけ?」と正直思いましたが、嬉しい要素ではありました。そこらへんはもっと描写があっても良かったかなー。


二人は一緒にいたら駄目になると拓留は言っていましたが、理由には触れてない気がします。拓留はまた世莉架に頼っちゃうし、世莉架も拓留のために間違っちゃうからって意味なんでしょうか。それとも、記憶を取り戻してしまう可能性があるからか。『普通の女の子』の世莉架には、出自や過去の記憶は耐えられないかもしれません。

 

自分の中で、好きなキャラや作品だったなら、どんな結末でも最後まで見守りたいという気持ちがあります。これが拓留と世莉架が選んだ道ならと思うと、落ち込んだけど納得はしました。

 

一緒に人生を歩んでいる、そんな幸せな二人を見てみたかったのが本音ですけどね。あっさりしてるのに、とてつもない愛を感じました。 

 

6.拓留と世莉架についてのまとめ

 

大体主人公とヒロインって、物語の過程で距離が縮まって、最後には誰よりも近くにいるじゃないですか。本作に限っては真逆ですからね! 初期の頃が一番近くて、どんどん遠ざかっていく。しまいには知らない者同士ですよ!

 

失恋や死別以外の別れなんて、はじめてな気がします。それでも繋がりが強いと感じられるのは、それだけ見せ方が上手なんでしょうね。

 

割と新しい関係性だとも思いました。 今年見た作品の中では断トツで好きな組み合わせです。